小さな蝶たち

分類 動物・昆虫 
タイトル 小さな蝶たち 
サブタイトル 身近な蝶と草木の物語 
著者 西口親雄著 
ページ数 252頁 
判型 A5変型判・上製 
定価 2,200円(本体2,000円) 
内容 森林を語ってきた著者が贈る、蝶の見方。
森や高原で著者が出会った小さな蝶たち。美しい姿で舞う春の妖精。彼らはどうして日本にたどり着き、そこに順応していったのか? 天敵を騙す術を身につけている蝶や蛾をつぶさに眺め、模様や姿が少しずつ異なる彼らの実体を探る。 
目次 ◆身近にいる蝶と蛾をみつめて
  ─松島湾南岸の田園都市から
1章 コミスジの履歴書
    ―餌植物から蝶の来歴を探る
 かわいい隣人 ─コミスジ/コミスジの餌植物/コミスジの
 幼虫/日本のコミスジとヨーロッパのコミスジ ─選択した
 餌植物が異なる/中国の場合/コミスジの遍歴の旅/リュ
 ウキュウミスジ ─コミスジとは親子関係/リュウキュウミ
 スジの餌植物 ─ミソナオシとクズ/リュウキュウミスジの
 ふるさと ─インドシナ半島
2章 かわいい訪問者・ヒメジャノメ
    ―身元しらべのおもしろさ
 ヒメジャノメ ─わが家の庭に来る/コジャノメの隠れ家/
 コジャノメって、なにもの?/バリ島のヒメジャノメそっ
 くりさん ─コジャノメ属のふるさとは、熱帯東南アジア/
 ヒメジャノメの来た道 ─大陸から日本へ/ニホンザルの渡
 来 ─ヒメジャノメとおなじ舟に乗って/新しい疑問 ─ヒ
 メジャノメの本性がみえない
3章 雑草に便乗して
    ―ヤマトシジミ
 路傍の昆虫観察/ヤマトシジミ ─ふるさとは温暖な乾燥
 大陸/カタバミの雑草化、ヤマトシジミの雑蝶化/シルビ
 アシジミ ─ヤマトシジミの遠い先祖か/ヤマトシジミの
 日本渡来 ─古くて、抜群の忍耐力/シルビアシジミの危機
4章 「春の妖精」の条件
    ―スギタニルリシジミ
 ◎スギタニルリシジミ ─トチノキの花に生きる
 スギタニルリシジミの渓谷/「春の妖精」の条件/スギタ
 ニルリシジミの意図
 ◎ルリシジミ ─日本は天国か
 樹の花なら、なんでもいただく ─すごいバイタリティー
 の持ち主/ヨーロッパでの餌植物 ─ヒイラギとフユヅタ
5章 蛾から蝶へ
    ―ベニモンマダラからセセリチョウへ
 イチモンジセセリ ─東北の寒さに未適応/アオバセセリ
 の警戒色/ベニモンマダラ ─昼飛性の美しい小蛾/蛾か
 ら蝶へ
6章 北アメリカから来た妖精
    ―コツバメの世界遍歴
 雑木林のなかのミニゴルフ場/コツバメ ─お茶目な春の
 妖精/欧米のコツバメ/蝶の来歴学 ─ルーツ追跡のおも
 しろさ/針葉樹を食餌にした蝶/コツバメの遍歴 北アメ
 リカからユーラシアへ ─餌は針葉樹から広葉樹へ
7章 タネツケバナに擬態して
    ―ツマキチョウとクモマツマキチョウ
 和服姿の「春の妖精」─ツマキチョウ/ツマキチョウの
 餌植物/亜高山帯の妖精 ─クモマツマキチョウ/クモマ
 ツマキチョウの日本ルート/ツマキチョウ(古型)の誕
 生 ─イヌブナ類の分布に似る/クモマツマキチョウ(丸
 羽型)の誕生と遍歴/タネツケバナに擬態して
8章 日本列島に守られて
    ―ヒカゲチョウとイチモンジチョウ兄弟
 縄文遺跡の森にて ─ヒカゲチョウの隠れ家/アサマイチ
 モンジが舞う
 ◎ヒカゲチョウ ─他国に親戚がいない─
 日本の笹/ヒカゲチョウの矛盾生活/ヒカゲチョウ対ク
 ロヒカゲ
 イチモンジチョウとアサマイチモンジ ─原始的な兄弟蝶
 隔離分布の意味/ヨーロッパの場合 ─ミナミイチモンジ
 /仲良く日本生活をエンジョイしてください

◆山と高原の旅から
9章 カラスアゲハの魅力
    ―日本への旅の道程を推理する
 ミヤマカラスアゲハを飼育する/カラスアゲハとミヤマ
 カラスアゲハの分布/カラスアゲハとミヤマカラスアゲ
 ハの餌植物/カラスアゲハ一族の発展と分化─沖縄亜種
 ・奄美亜種の特異性は、なにを語る/リュウキュウウラ
 ナミジャノメ ─奄美・沖縄本島の特異性/ミヤマカラス
 アゲハの来た道 ─中国大陸山岳地帯を遠回りして/屋久
 島は古戦場 ─カラスアゲハがいない理由
10章 ギフチョウの来た道・再考
 ◎ヒメギフチョウ ─国際派の蝶
 奥の細道/山刀伐峠でヒメギフチョウに出会う/ヒメギ
 フチョウ分布のなぞ1 ─V字状分布/ヒメギフチョウ分
 布のなぞ2 ─V字状分布から全面分布へ/ヒメギフチョ
 ウ分布のなぞ3 ─日本での隔離分布
 ◎ギフチョウ ─日本本州固有の蝶
 東北日本海側のギフチョウ/元祖ギフチョウと中国のカ
 ンアオイ/カンアオイの来た道/ニホンギフチョウの日
 本へ来た道・再考
11章 高山蝶・ベニヒカゲ物語
    ―日本海周辺に生きる蝶
 ◎前編 ベニヒカゲのルーツを追って ─スイス、日本、
 チベット、トルコ、地中海
 スイスの高原から届いた蝶の写真/スコッチベニヒカゲ
 に会える ─スイス高原の花旅/スコッチベニヒカゲ
 ─形態と分布/日本のベニヒカゲ ─どこで会える?/
 ニホンベニヒカゲとスコッチベニヒカゲの別れ道/エレ
 ビア属元祖の誕生地は、どこ?/エレビア属の第一次拡
 散 ─高山・山岳が形成された時代/エレビア属の第二次
 拡散 ─北方地域に草原が拡大する時代/元祖エレビアは、
 どこからやってきた? ─地中海沿岸/地中海って、なに
 もの?
 ◎後編 ベニヒカゲの餌植物
 ひとつの疑問 ─ベニヒカゲの餌植物は、日本とヨーロッ
 パで異なる、なぜ?/ジャノメチョウ科全体の食草 ─日
 本とヨーロッパの比較/月山でベニヒカゲに出会う/残っ
 た疑問 ─蔵王にはベニヒカゲがいない、なぜ?
12章 ゴンドワナ大陸へやってきた蝶
 ◎ミナミベニヒカゲ ─なぞを秘めた分布─
 ニュージーランドのジャノメチョウたち/ミナミベニヒ
 カゲのとおった道 ─海を渡ってゴンドワナ大陸へ 
PDFパンフレット  
備考 森林インストラクターにとって「蝶なんて」と思うかもしれないが、蝶でも樹でも、草でも鳥でも、みんなおなじなのである。われわれは、対象物の名を教えるのではなく、見方を教えるのである。だから今回の本でも、「ものの見方」をみてもらいたいのである。(「あとがき」より)

ISBN978-4-89694-868-4

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