愉しい干潟学

分類 自然 
タイトル 愉しい干潟学 
サブタイトル  
著者 ジポーリン福島菜穂子×小倉雅實[著] 
ページ数 152頁 
判型 A5判変形・並製 
定価 1,620円(本体1,500円) 
内容 この本を読んだら、干潟へ行きたくなります!
エビ、カニ、クラゲ、ヤドカリ、マテ貝、フジツボ、アメフラシ...一見地味な砂地だけれど、数え切れないほどの「いのち」と出会える場所。潮の満ち引きを眺めていると、まるで地球が生きているかのよう...
私たちの祖先が古事記・万葉の古来から利用しつつ守り続け、現在ではラムサール条約によって世界的な保全の対象となっている人類の貴重な財産。そんな干潟の魅力に文学と生物学のエキスパートが、それぞれの立場で楽しくアプローチ。美しい写真と愉快なイラストを添えて贈る、干潟愛あふれるふたりの満潮コラボレーション! 
目次 【目次より】
◇待て待てマテ貝、潮はもう満ちたかい?
◇干潟のカニを観察しよう!−−カニの食事とダンスの話
◇動かないフジツボが世界を巡る
◇ヤドカリは海の味
◇ヨシ原の揺りかごから 
PDFパンフレット  
備考 ●サンデー毎日書評 SUNDAY LIBRARY「オトナの勉強机」より(掲載2014年10月26日号)
◇海辺の砂や泥の中に潜む多彩な「いのち」に触れよう
 十月は外で遊ぶのに格好のシーズンだ。海辺を歩くのはどうだろう。
 潮が満ちているときには海面の下、潮が引くと干上がって陸地になる干潟の周辺は、生態的環境の多様性という点でも注目される。神奈川・三浦半島の小網代(こあじろ)湾の干潟は四ヘクタールほどの広さ。森から干潟、海がつながっているのは他に例がないという。
 本の題名の「干潟学」について、あれっと思う向きもあるかもしれない。「はじめに」の冒頭で著者は、専門区分名ではないとはっきり語っている。いろいろな角度、多方面の学問領域から「いのち」を考えていきたいのだと。
 干潟を歩くとき私たちは、足に泥や砂の感触をおぼえ、空を仰いで風を感じ、水のにおいを嗅ぐだろう。そして、干潟のさまざまな動植物を知って細部へと分け入りながら、複雑なつながりに気づいていくだろう。この、全身でうけとめるものは、特定の専門領域に収まるものではない。
 干潟そのものや、干潟に育まれる「いのち」と関わることが、「干潟学」という言葉に込められているのだと思う。
 マテ貝、カニ、アメフラシ、フジツボ、ケラゲ、鳥ではアオサギ、桜、葦……。にぎやかな顔ぶれである。
 干潟の生き物たちは、古今東西の文学や芸術、たとえば神話や絵画、和歌や俳句などで活躍している。生物にあまりなじみがなくても、学名が並ぶのにピンとこない場合でも、その暮らしぶりや世界各地の人びとの生活との関係が見えてきて、親しみがわく。著者の豊富な知識によるのはもちろんだが、独特の連想の妙も縦横に生かされている。
 脱皮を重ねたヤドカリが住まいの貝殻を見つけ、大きくなると「リハウス」。ボストンの水族館の研究員が名づけたヤドカリSNSでは、大きいヤドカリから順に引っ越しをするのだとか。人が海辺で貝殻を拾いすぎるとヤドカリが住宅難になるのでご注意を。
 ややマニアックなツメタガイのことを本書で思い出した。この巻貝はアサリなど他の貝を食べる肉食性だ。
 小学生の頃、私がどこかの海岸で拾ったのがツメタガイ。図鑑を見ていて、二枚貝のちょうつがいの近くに穴があいているのがツメタガ
イの食事の痕跡だと知った。夏休みの終わりにようやく仕上げた自由研究だった。
 干潟の砂や泥の下にたくさんの生き物が隠れているみたいに、知る「愉しさ」も埋まっているようだ。
評者:阿武秀子(フリーライター、編集者)

【著者】
ジポーリン福島菜穂子(ふくしま なほこ)
文学博士(米国ミシガン大学比較文学)。ホモ・ルーデンス。原始人感覚を回復すべく、文学や芸術から、自然環境との寄り添い方を考えるべく、「比較文化干潟学」を絶賛提唱中。東京農業大学准教授。2013年ICASベスト・アコレイド賞受賞。著書に『小網代の森の住人たち』(八坂書房、2011)。
【著者】小倉雅實(おぐら まさみ)
医大勤務時代は、耳鼻咽喉科にて「喉越し」の研究などにも携わる。現在は、干潟の底生生物の種類と個体数の調査、干潟環境の変化に伴う希少生物の状況調査に従事。小網代の森と干潟を守る会役員。特定非営利活動法人小網代野外調整会議理事。

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ISBN978-4-89694-178-4 

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