花見と桜

分類 文化史 
タイトル 花見と桜 
サブタイトル 〈日本的なるもの〉再考 
著者 白幡洋三郎著 
ページ数 240頁 
判型 四六判・上製 
定価 2,090円(本体1,900円) 
内容 ◎桜に遊ぶ日本人◎
咲き乱れる桜の下に大勢が集い、思いおもいに宴を楽しむ--「群桜」「飲食」「群集」がそろった〈花見〉こそ、世界に類を見ない日本固有の民衆文化なのだ!!
〈桜花〉に投影されてきた個々人の精神ではなく、〈花見〉という行動に映し出される集団の精神に日本文化の本質を見いだす、エキサイティングな【花見】論! 待望の増補改訂新版。 
目次 序章
 花見の三要素群桜・飲食・群集❖花見は日本独特の行事
 三要素はいつ備わったか❖貴族文化と農民文化の融合
 「桜」論ではない「花見」論

第I章「花見」諭へ「桜」の民俗学を超えて
一、「桜」の語源
 無批判に流布される「サ・クラ」説❖桜の花は稲の実りを占うもの?
 「サ・クラ」説を最初に唱えたのはだれか❖一三種ある桜の語源説
二、なぜ桜は精神主義と結びつけられたか
 大和魂とは無関係な本居宣長の桜観❖山田孝雄による通俗的桜観批判
 花そのものに悲哀は宿っていない❖桜の精神主義・肯定から否定へ
 桜論の大きな欠陥

第II章 外国人が見た花見
一、西洋人が記録しない日本人の花見行動
 『日葡辞書』に載っているFanami❖シーボルトやケンペルも言及せず
 桜に興味を示さなかった博物学者❖桜を通じて見せた偏狭な島国根性
 日本紹介に「花見」を加えなかったチェンバレン
 日本人とともに花見を楽しんだ中国人❖ロンドンで詠んだ「花より団子」
二、西洋人は花見をいかに観察したか
 ベルツが見た向島の魅力的な娘❖桜が国民的花であるゆえん
 桜・花見より祭りに関心❖『英国公使夫人の見た明治日本』
 武士道と桜の花❖アメリカ人女性が見た花見
 上野と向島の花見客の違い

第III章 世界に花見はあるか
一、花見なきポトマックの桜
 ワシントンの「桜祭り」❖二〇〇〇本の桜の悲劇
 最初の植樹桜は残っているか❖桜はあっても花見はなし
二、世界の花見事情
 ブラジルの花見(南北アメリカ大陸)
 商業主義が盛り上げる大連のアカシア祭(中国)
 花見と同質の楽しみをもつ国(韓国)
 「文化的美学」こそ観賞の条件(ヒマラヤ地域)
 「見事な桜」が花見の条件ではない(ネパール・インド)
三、欧州人の花の観賞法
 歩きながら観賞する(ドイツ・オーストリア)
 収穫祭・復活祭と宴(南ヨーロッパ)
 シベリアの「緑の花見」(ロシア・ブルガリア)
 桜は“SAKURA”(チェコ)
 「木の信仰」をタブー視したキリスト教

第IV章 花見と近世都市江戸民衆的日本文化の誕生
一、大衆文化としての花見の成立
  火事とケンカは江戸の華❖「花」が桜を示すようになったのはいつ
江戸びとは大の花好き❖江戸の花見には三要素が満たされていた
二、享保期における桜の植樹と鷹狩りの再興
 吉宗の花見公園造成❖鷹狩りの復活がもたらしたもの
 都市としての活力のあらわれ❖花見の三大新名所
 花見旅行と「花友」❖都市江戸と農村の接点で花開いた花見文化

第V章 花見の文学
一、個人の不幸に重ねて語られる桜の悲運
 なぜ花見の文学はないのか❖『細雪』の京都花見旅行
 花見を文学にした谷崎潤一郎❖「世の中に絶えて桜のなかりせば」
 西行にとってなぜ桜でなくてはいけないのか❖桜の悲運を救う道
二、宴と切り離せない花見の文芸
 民衆化した「花の下」連歌❖賭事の要素もあった連歌
 佐々木道誉の大原野花見❖芭蕉もドンチャン騒ぎを楽しんだ
 民衆は小歌をどのように口ずさんだか
 室町時代の小歌は現代のデュエット曲
 さらなる民衆的広がりをみせた江戸期
 花見団子は饅頭❖近代文学と花見❖花見は「年に一度の戦争」

第VI章 現代社会と花見
一、現代の非日常・ハレの行事
 ベストセラー『〝花見酒〟の経済』❖景気の良い話題を連想させる「花見」
 参加者全員が楽しめる家庭の年中行事❖女性への負担が少ない家庭行事
 花金から花木へ
二、日本社会への問い直し
 宴の場での「事なかれ主義」❖花見も国際理解の場
 四月一日始期の起源

終章 花見の根源を考える社会人類学・社会心理学的花見論
◎なぜ日本にしか花見はないのか
一、共食と贈与からみた花見
 共食がもつ団結の力❖垂直構造から水平構造の宴へ
 贈与論による花見分析❖花見は時と場を同じくする「贈答」
二、集団と団結からみた花見
 「ひとつ心になるため」の酒❖小集団がつくる花見の大群集
 日本の概念でしかあらわせない花見の特徴❖「貴賤群集」は花見を知る鍵概念

あとがき
参考・引用文献一覧
索引 
PDFパンフレット  
備考 著者紹介
白幡洋三郎(しらはた ようざぶろう)
1949年大阪府生まれ。1980年京都大学大学院農学研究科博士課程単位修得退学。農学博士。京都大学農学部助手、国際日本文化研究センター教授を経て、現在、中部大学特任教授。国際日本文化研究センター名誉教授。
主な著書
『プラントハンター:ヨーロッパの植物熱と日本』講談社選書メチエ、1994年(毎日出版文化賞奨励賞) →講談社学術文庫、2005年
『近代都市公園史の研究:欧化の系譜』思文閣出版、1995年
『旅行ノススメ:昭和が生んだ庶民の新文化』中公新書、1996年
『大名庭園:江戸の饗宴』講談社選書メチエ、1997年
A.M. コーツ『花の西洋史事典』八坂書房、2008年(共訳)他多数。
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ISBN978-4-89694-185-2 

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