西洋の誕生
《柳宗玄著作選1》

分類 美術・工芸 
タイトル 西洋の誕生
《柳宗玄著作選1》 
サブタイトル  
著者 柳 宗玄 
ページ数 424頁 
判型 菊判・上製 
定価 6,380円(本体5,800円) 
内容 東欧、中東、北アフリカなど西欧の周縁に遺された「かたち」との対話を通じて、異教的母胎からのキリスト教美術の誕生の過程を浮彫りにしつつ、西洋文明の本質、さらには洋の東西を超えた造形という営為の源泉にまで、透徹した眼差しを向ける渾身の論考。図版百余点を増補。 
目次 1 太陽神キリスト
 第三の歴史/キリストの円光
 日の出と聖堂の方向/太陽と神と人
2 聖樹より十字架へ
 エデンの園/聖樹を守るもの/東西の遺宝/我は葡萄樹
 アカントスとパルメット/生命の樹としての十字架
3 幻の「木の文化」
 「木の文化」/文字のない歴史/ケルトの森
 木の聖堂/木像の伝統
 補遺:ヴィオレ・ル・デュックの「木材」論(翻訳)
4 生命の泉
 ケルト人の聖なる泉/シトー派と水/砂漠に渇く者
 潔めの水/水の形
5 水に生きるもの
 聖なる魚/魚と麦/大魚と小魚/魚の王/人を漁る者
6 死者の舟・生者の舟
 死者の舟/古代エジプトと西洋中世
 カタコンベの祈り/生者の舟
7 羊の国にて
 生贄の羊/神の子羊/善き羊飼い/羊飼いの像/羊の群れ
8 巨石の伝統
 巨人の業/中世の大建築/巨石文化/石の祭壇
 十字架と石柱/巨石と聖堂
9 山岳信仰の流れ
 岩山の上の町/神意の下るところ
 大天使聖ミカエル/山としての聖堂
10 十字文の世界
 十字架とキリスト教/十字文の意味
 初期の十字文/十字架の誕生
11 謎の組紐文
 ザンクト・ペーターの浮彫/組紐文の世界
 ゲルマン族の創造/組紐文の発生
 ランゴバルト美術/組紐文の意味
12 聖母の誕生
 理想の女性像/聖母子像の起源
 処女礼讃の伝統/神母としてのマリヤ
13 古代彫刻の終焉
 カタコンベの芸術/人間像の問題/ギリシャの神々
 人間より神へ/古代の肖像/石棺彫刻の異教性
 キリスト教美術の形成段階
14 不肖の像
 なぜ描くのか/ローマの肖像
 ファユームの画像/不肖の原理 
PDFパンフレット (889KB) 
備考 ISBN978-4-89694-759-5
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【著者略歴】
柳 宗玄(やなぎ むねもと)
1917年 東京に生まれる
1939年 第一高等学校卒業
1942年 東京大学法学部法律学科卒業
1945年 東京大学文学部美学美術史学科卒業。東京大学文学部特別研究生
1947年 東京大学文学部副手、ついで助手
1952―53年 フランス政府給費生としてパリ留学(エコール・デ・シャルト)
1953―55年 ベルギー、ルーヴァン大学給費生
1957年 東京芸術大学美術学部助教授
1962年 フランス政府招聘による渡航研究
1964―66年 文部省給費により、東京芸術大学よりカッパドキヤ調査団を組織(全三回)
1968年 お茶の水女子大学文教育学部教授就任
1982年 お茶の水女子大学教授を定年退職、名誉教授となる。武蔵野美術大学教授就任
1988年 武蔵野美術大学教授を退任

主要著作一覧
『アミヤン大聖堂』座右宝美術叢書2、座右宝刊行会、1957
『キリスト 美術にみる生涯』現代教養文庫、社会思想社、1959
『フランス美術』世界美術大系15、講談社、1961
『太陽と洞窟の谷』朝日新聞社、1967
『カッパドキヤ トルコの洞窟修道院』鹿島出版会、1967
『秘境のキリスト教美術』岩波新書、岩波書店、1967
『ビザンティンの世界』世界の文化史蹟11、講談社、1969
『ロマネスク・ゴシックの聖堂』世界の文化史蹟12、講談社、1970
『西洋の誕生』新潮社、1971
『ルオー』現代世界美術全集12、集英社、一九七二
『ロマネスク美術』大系世界の美術11、学習研究社、1972(毎日出版文化賞受賞)
『初期ヨーロッパ美術』大系世界の美術10、学習研究社、1974
『東方キリスト教美術』大系世界の美術9、学習研究社、1975
『サンティヤゴの巡礼路』世界の聖域16、講談社、1980
『岩波美術館』全24冊のうち「天と地の賛歌」ほか8冊、岩波書店、1981―87
『ロマネスク・東方キリスト教』世界の建築4、学習研究社、1983
『虚空散華』『黒い聖母』福武書店、1986
『ルオー・キリスト教聖画集』学習研究社、1987
『かたちとの対話』同時代ライブラリー、岩波書店、1992
『十二支のかたち』同時代ライブラリー、岩波書店、1995
『色彩との対話』岩波書店、2002
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「柳宗玄著作選」〈全6巻〉

●全6巻の構成

第一巻 西洋の誕生
太陽神キリスト/聖樹より十字架へ/幻の「木の文化」/生命の泉/水に生きるもの/死者の舟・生者の舟/羊の国にて/巨石の伝統/山岳信仰の流れ/十字文の世界/謎の組紐文/聖母の誕生/古代彫刻の終焉/不肖の像

第二巻 東方キリスト教美術
  総 説 東方世界の多元化
  第一章 初期キリスト教美術の形成
  第二章 コプト美術とその周辺
  第三章 アジア的キリスト教美術の諸相
  第四章 ビザンティン美術とその伝統

第三巻 初期ヨーロッパ美術
  総 説 ヨーロッパ美術の二潮流
  第一章 ケルトの伝統とその新展開
  第二章 ゲルマンの伝統とその新展開
  第三章 地中海美術の変貌
  第四章 カロリング朝とヨーロッパ美術の形成

第四巻 ロマネスク美術
  総 説 象徴芸術の大時代
  第一章 天の像
  第二章 地の像
  第三章 神の家
  第四章 素材・機能・造形

第五巻 ロマネスク彫刻の形態学
  I 聖母
  II 空想の怪獣
  III 天使と悪魔
  IV 植物
  V キリスト
  VI 鳥獣
  VII 庶民の生活
  VIII 抽象の形
  IX 謎の顔
  X 人像円柱
  XI 柱頭の福音書

第六巻 サンティヤーゴの巡礼路
  第一章 聖ヤコブスの聖地へ
  第二章 巡礼に旅立つ人々
  第三章 ガリスィヤを目指して
  第四章 さいはての大聖堂
  終 章 中世の巡礼たち
  全訳『サンティヤーゴ巡礼案内書』 

掲載図版1  掲載図版2

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