西欧古代神話図像大鑑[続篇]

分類 歴史・民族・宗教 
タイトル 西欧古代神話図像大鑑[続篇] 
サブタイトル 東洋・新世界篇/増補・補註/(付)図版一覧 
著者 V. カルターリ[著]L. ピニョリア[増補]大橋喜之[訳] 
ページ数 440頁 
判型 菊判・上製 
定価 5,280円(本体4,800円) 
内容 拡大する西欧の万神殿に映り込む、
日本の神仏、そして安土城の幻影......。
ルネサンス以降、変容を重ねつつ読み継がれた神話概説書の代表的古典の、後代の増補部分をまとめた[続編]。ギリシア・ローマ神話を扱う正篇への補註のほか、日本の神仏の姿、そして安土城の幻影を奇蹟のように描きとどめる東洋・新世界篇など、バロック期の増補を完全収録。新図版100点余。
正続両篇の図版を網羅した[図版一覧]を付し、本書のみで全体を通覧することも可能!

荒俣宏氏絶賛、神話概説書の代表的古典のもう一つの姿とは?

○後代(17世紀)の増補部分をまとめて紹介。
○西欧の神話関係の図像100点余の追加に加え、日本の神仏の姿を西欧で最初に印刷紹介したといわれる図や、かの安土城の一部を伝えるとされる図など、貴重な図版を多数収録。
○正続両篇を網羅した全図像一覧を加えた必携の一冊。 
目次 カルターリ『神々の姿』
 第二部 東西インドの神々
 本文補註
 追補

解題
 ロレンツォ・ピニョリア版 ─変身する書物

付録
 アンリ・ド・ルバック『仏教』抄

ほか 
PDFパンフレット  
備考 西欧古代神話図像大鑑』(正篇)はこちら。



● 朝日新聞書評より(掲載2012年11月11日)
信仰と欲望、明快に示した古典
 古代文化が復興したルネサンス期は、キリスト教の側から見ても古代神話の豊かな寓意や物語を借りて宗教教義に魅惑的な「イメージ」を与える改革期であった。そこで必要になるのは、神々の姿かたち、行為、性格、ファッションなどを一覧できる「神々図鑑」である。
 その決定的古典といえる本書の翻訳完成に快哉を叫びつつ、内容がキリスト教の枠をはみ出してワールドワイドである点にも驚嘆した。実際、この時代に日本の天正少年使節が西欧を歴訪し、カルターリ没後の刊に日本の神々すら図示されたのだから。
 従って神についての説明も明快で大胆である。獣にはない「信仰心」を具えた人間は、目に見えない神に形を与え、それを崇拝する技術を有する。たとえば愛の神キューピッド(クピド)は、太陽が何者をも光で触れて温めるように、すべてを情熱的に追い求める男の情欲を表す。
 その欲望が強すぎると過ちも犯すので、目隠しをして恋の矢を放ち、光る松明を掲げた若者に象られる。その母親は情欲の女神ヴィーナス(ヴェヌス)であり、父神の睾丸が投げ込まれた海の泡から誕生したゆえに、貝殻に乗った全裸の美女と表現される。海の貝は交接のとき完全に開いてすべてを見せるので性交の悦びをあらわす。ときに、彼女の足元に亀が描かれるのは、交尾するとき腹を上に向けねばならず無防備となって命を落とす危険を知らせ、子を産む以外の情欲を慎むべきだとの訓戒である。
 こうしたセクシーな図像集を介して古代神像は復活し、フィレンツェのように裸体彫刻だらけの街も出現するわけだが、この寓意手法が同時期に神秘学・錬金術の奥義やエジプト象形文字の解読にも活用された。
 私たちも本書を手にすれば、ルネサンス期の神像に隠された信仰と欲望をきっと見透せる!
評者:荒俣 宏(作家) 



ISBN978-4-89694-176-0 

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