西欧古代神話図像大鑑

分類 歴史・民族・宗教 
タイトル 西欧古代神話図像大鑑 
サブタイトル 全訳『古人たちの神々の姿について』 
著者 ヴィンチェンツォ・カルターリ著/大橋喜之訳 
ページ数 698頁 
判型 菊判・上製 
定価 7,344円(本体6,800円) 
内容 ルネサンスの芸術家たちに、霊感を吹き込んだ伝説の書、待望の邦訳。
ギリシャ・ローマ神話をはじめとする異教の神々の世界の全体像を、詳細な図版とともに紹介。
16世紀から17世紀にかけて熱狂的支持をもって迎えられ、神々の〈再生〉あるいは〈復活〉に大きく寄与した、伝説的ベストセラーの完訳。
興味深い図版の数々については、1587年版、1647年版の両版のものを完全再録。詳細な索引を付し、〈神話図像事典〉としての活用も可能。 
目次 サトゥルヌス
アポロン、ポイボス、太陽
ディアーナ
ユピテル
ユーノー
大地母神
ネプトゥーヌス
プルトーン
メルクリウス
ミネルヴァ
バッカス
フォルトゥナ
クピド
ヴェヌス
グラティアたち 
PDFパンフレット  
備考 『西欧古代神話図像大鑑[続篇]』もご覧下さい。



【著者】ヴィンチェンツォ・カルターリ (VINCENZO CARTARI)
16世紀初頭、イタリアのレッジョ・エミリアに生まれる。フェラーラ公の庇護のもとに活動した人文主義者と思われるが、その生涯については何も知られていない。

【訳者】大橋喜之 1955年生まれ。翻訳家。ローマ在住。
訳書に、C.H.フィオレ監修・解説『最新ガイド・ボルゲーゼ美術館』(GEBART s.r.l., Roma, 1998)、ゼーリ『イメージの裏側』(2000)、『ローマの遺産』(2009)、リーヴス『中世の預言とその影響』(2006)(ともに八坂書房)などがある。



〈原題〉VINCENZO CARTARI
"LE IMAGINI DE I DEI DE GLI ANTICHI"



● 朝日新聞書評より(掲載2012年11月11日)
信仰と欲望、明快に示した古典
 古代文化が復興したルネサンス期は、キリスト教の側から見ても古代神話の豊かな寓意や物語を借りて宗教教義に魅惑的な「イメージ」を与える改革期であった。そこで必要になるのは、神々の姿かたち、行為、性格、ファッションなどを一覧できる「神々図鑑」である。
 その決定的古典といえる本書の翻訳完成に快哉を叫びつつ、内容がキリスト教の枠をはみ出してワールドワイドである点にも驚嘆した。実際、この時代に日本の天正少年使節が西欧を歴訪し、カルターリ没後の刊に日本の神々すら図示されたのだから。
 従って神についての説明も明快で大胆である。獣にはない「信仰心」を具えた人間は、目に見えない神に形を与え、それを崇拝する技術を有する。たとえば愛の神キューピッド(クピド)は、太陽が何者をも光で触れて温めるように、すべてを情熱的に追い求める男の情欲を表す。
 その欲望が強すぎると過ちも犯すので、目隠しをして恋の矢を放ち、光る松明を掲げた若者に象られる。その母親は情欲の女神ヴィーナス(ヴェヌス)であり、父神の睾丸が投げ込まれた海の泡から誕生したゆえに、貝殻に乗った全裸の美女と表現される。海の貝は交接のとき完全に開いてすべてを見せるので性交の悦びをあらわす。ときに、彼女の足元に亀が描かれるのは、交尾するとき腹を上に向けねばならず無防備となって命を落とす危険を知らせ、子を産む以外の情欲を慎むべきだとの訓戒である。
 こうしたセクシーな図像集を介して古代神像は復活し、フィレンツェのように裸体彫刻だらけの街も出現するわけだが、この寓意手法が同時期に神秘学・錬金術の奥義やエジプト象形文字の解読にも活用された。
 私たちも本書を手にすれば、ルネサンス期の神像に隠された信仰と欲望をきっと見透せる!
評者:荒俣 宏(作家) 



ISBN978-4-89694-141-8 

掲載図版1  掲載図版2

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